熊野と呼ばれるのは、紀伊半島南部。新宮を中心に、東は紀伊長島から南は田辺へ。三重県から和歌山県へまたがる地域で、死者の霊が寄る「隠国（こもりく）」とも、「隈（くま）」に通ずる奥まった辺境の地ともいわれた。岩や樹木や滝をご神体とする原初的な自然信仰の地は、峻厳な山を聖地とする修験道の地であり、また神仏習合の神と仏がおわす。 本宮、新宮、那智大社の熊野三山には、院政時代、上皇や貴族たちが盛んに熊野詣でを重ねた。はるばる京都から巡拝したのである。34回も御幸を重ねた後白河法王は『梁塵秘抄』で熊野へ参らむと思へども、徒歩より参れば道遠し、すぐれて山峻し…空より参らむ、羽賜べ若王子と詠んだ。熊野へ行くの羽が欲しいと吐露するほど険しい熊野詣。難行苦行を経ても救われたいという。

【関東方面から】 名古屋発JR特急ワイドビュー南紀を利用。紀伊勝浦で下車。特急の本数が限られているので要注意。 【関西方面から】 大阪・天王寺発JR特急くろしお、スーパーくろしお、オーシャンアローなどが、1時間に1本の割合で出ている。紀伊勝浦下車。 「新宮観光協会」TEL：0735-22-5231 「那智勝浦観光協会」TEL：0735-52-5311 「本宮町観光協会」TEL：0735-42-0735 「紀州語り部」TEL：073-441-2789（和歌山県観光交流課） ＊県の観光連盟に登録するガイド専門員。熊野の信仰や歴史についての案内。要謝礼。