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水をめぐる小さな旅(10)
秋田・六郷 泉で潤う、水道のない町
秋田県の米どころ、仙北平野の一角、六郷は湧水群の里だ。天然の地下水を飲料水や生活用水に使えるほど、いい水が湧き出している。シズとみんなが呼ぶ泉は、そちこちにあって、畑の野菜を洗ったり、ビールやすいかを冷やしたり。ここで顔を洗うのを今でも習慣とする人もいる。きれいな水の里は、ちり一つ落ちていない美しい町でもあった。
宝門清水には、樹齢300年の大欅が
百清水の里

今の時代に水道のない町があるという。秋田県仙北郡六郷町は、奥羽山脈に源を発する丸子川の扇状地。山の雪や雨水が扇状地の砂礫層へ滲みこむ。広大な水田も地下水の供給源となって、地下で濾過されながら湧水となる。扇状地はいってみれば、たぷたぷと豊かな水瓶なのである。したがって、六郷では2〜3メートル掘れば、たちまち水があふれ出る。水道水のまずさに顔をしかめながら、ミネラルウォーターを買って暮らす私たちからすると夢のような話だ。
町の台所だった、澄んだ湧き水

朝早くから人の姿が絶えないのは、御台所清水だ。かねて藩主鷹狩の折、お茶や炊事に使ったのが名の由来。けれど、ここは昔から人が寄り集まってくる清水で、家庭に井戸が普及するまでは、とびっきりにぎやかな場所だった。人々は一日中、ここへ集まってきて、米をとぎ野菜を洗い、魚をおろし野菜を刻んだ。ごはんが終われば、再び食器を洗いにくる。洗濯に来る。飲み水を汲みに来る。一日中、井戸端会議やにぎやかな笑い声が絶えなかった。お台所というのは、いかにもふさわしい。
今もみんなが愛する、御台所清水

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