定期購読のご案内
ホーム 新刊案内 近刊案内 トピックス 装苑ONLINE 装苑賞
洋裁・手芸 クラフト 服飾 幼児・児童 料理 生活 読み物 その他
Book_search
書籍検索  書籍 雑誌 
>>詳細検索

水をめぐる小さな旅
通潤橋 江戸時代の用水の知恵
イチイガシ、タブ、カゴノキ、ツバキ、イスノキ、イタジイ、クスノキ。肉厚の葉を光に輝かせ、にぎやかにさざめく照葉樹林は、日本人の暮らしや精神の基層を培ったとされる。九州・宮崎県綾町、綾南川と綾北川に広がる原生林の森には、たくさんの生き物がうごめき、厚く積もった落ち葉層は地下水を宿らせ、やがて渓流となって豊かな水を生み出す。
苔からにじみ出る滴り。
田畑を潤す、生命線の石橋

綾南川には、綾町自慢の世界一の歩道吊り橋がかかる。1時間ほどで照葉樹林を歩けるが、その先に残る原生林をたずねたく吊り橋を渡ると、真っ白い水がほとばしり出ていた。これはみんな照葉樹林の水。小さな沢からしみ出た一粒の雫は、到る所から流れ出す。岩肌を伝い、小さな流れが寄り集まって、水しぶきを上げる流れに。森を抜けると、照葉樹林を縫って川の水がエメラルドグリーンにきらめいていた。
筧の跳ね上がる水を見て着想。

綾の森には、今なお、原始の生態系が息づく。日本の自然の原点は綾の森にしかない。豊かな生物の集団が住む最後の森。森の中に入ると、樹間は湿っぽい匂いに満ちていた。天に向かって太い幹をくねらせる三百年を生きた大樹。翻った葉が、天空の光にきらめく。足もとから埋め尽くす羊歯や苔。樹幹には蔦蔓が這いまわり、何十種類もの着生植物が覆っている。林道に横たわる朽ち木や土壌には、無数の虫や微生物が住む。長大な時間を生きた森。
天に向かって枝をかざす木々。その高さ、30mというものも。

ヘルプ | 学校法人文化学園お問い合わせ文化出版局案内個人情報の取り扱いについてサイトマップ
Copyright BUNKAGAKUEN BUNKA PUBLISHING BUREAU All Rights Reserved.