和の器と食材。凜とした料理は和食を思わせるが、正真正銘のイタリアンである。店名の“エルバ”は草を意味し、14皿のコースは日本全国から集められた旬の“野菜”を主役に組み立てられている。腕をふるう中東俊文シェフは、かの摘み草料理の名店、「草喰 なかひがし」の中東久雄さんの息子であるが、13歳の時に食べたイタリア料理に魅せられ、現地で5年に及ぶ修業を重ねた。そんな中東シェフの料理は、和の素材の繊細さがありながら、イタリア郷土料理の力強さを感じる。すべて食べ終えると、おなかはいっぱいなのに軽やか。「極力乳脂肪を使わないように」と、笑顔で言うシェフとの軽快な会話も最高のもてなしで、季節のたびに通いたくなる店である。12,000円と15,000円のコースのみ(共にサービス料別)。 撮影・安田如水(本誌)/取材、文・石出和香子 |
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18時〜21時(L.O.)。 日曜休み。要予約。 |
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東京都港区西麻布4の4の16 NISHIAZABU4416 B1 電話 03-5467-0560 |
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コースの一例。 写真上 “名残の鱧と走りの松茸”。土鍋で蒸焼きにした一品は、ふたを開けた瞬間にまつたけの香りが立ち上り、はもはふっくらとやわらかい。香草バターを加えることで、和の食材にイタリアらしさが宿る。
写真下 “ポルチーニ茸のパッパルデッレ”。ポルチーニの香りとうまみが手打ちの太麺パスタにしみ込み、濃厚な味わい。爽やかなハーブ、サントレッジャの香りが小気味いいアクセントに。 |
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